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我々は、これまで何を、食べてきたのか? いま何を、食べているのか? そして、これから何を、食べてゆきたいのか? 思索

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www.niaes.affrc.go.jp/magazine/130/mgzn13015.html



本の紹介 300: 銃・病原菌・鉄:1万3000年にわたる人類史の謎(上・下)、ジャレド・ダイアモンド著、倉骨 彰訳、草思社


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(2000年10月)
ISBN978-4-7942-1005-0(上巻)

目次

<上巻>

プロローグ ニューギニア人ヤリの問いかけるもの

第1部 勝者と敗者をめぐる謎

第1章 一万三〇〇〇年前のスタートライン

第2章 平和の民と戦う民との分かれ道

第3章 スペイン人とインカ帝国の激突

第2部 食料生産にまつわる謎

第4章 食料生産と征服戦争

第5章 持てるものと持たざるものの歴史

第6章 農耕を始めた人と始めなかった人

第7章 毒のないアーモンドの作り方

第8章 リンゴのせいか、インディアンのせいか

第9章 なぜシマウマは家畜にならなかったのか

第10章 大地の広がる方向と住民の運命

第3部 銃・病原菌・鉄の謎

第11章 家畜がくれた死の贈り物



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ISBN978-4-7942-1006-7(下巻)

<下巻>

第12章 文字をつくった人と借りた人

第13章 発明は必要の母である

第14章 平等な社会から集権的な社会へ

第4部 世界に横たわる謎

第15章 オーストラリアとニューギニアのミステリー

第16章 中国はいかにして中国になったのか

第17章 太平洋に広がっていった人びと

第18章 旧世界と新世界の遭遇

第19章 アフリカはいかにして黒人の世界になったか

エピローグ 科学としての人類史


本の紹介も300冊目となった。今回は、朝日新聞が2000~2009年の図書を対象に選んだ、「ゼロ年代の50冊」という企画でベスト1に選ばれた、ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」を紹介する。ある意味衝撃的な歴史観であり、農業と環境を考えるうえで示唆するところは大きい。

タイトルの 「銃・病原菌・鉄」は、15世紀以降のヨーロッパ社会による新大陸征服を可能とした直接の要因を指す。それからすると人類史の中でも比較的新しい時代を扱っているイメージだが、上巻の一番のテーマは「食料生産にまつわる謎」である。この1万3000年を振り返ると、産業を発達させた社会が生まれた地域がある一方で、文字も鉄器も持たず、石器や木器での狩猟採集生活がずっと続いた地域もある。そして歴史において、(文字と金属器を持つ)産業が発達した社会がそれらを持たない社会を征服し、あるいは絶滅させてきており、このことが人類の歴史に長い暗い影を落としている。

こうした地域間の差異はなぜ生まれたのであろうか。話は、進化生物学者でもある著者が、鳥類の進化の研究でニューギニアの海岸を歩いていたときに、現地のヤリという名の政治家が発した、「あなた方白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはぜだろうか?」 という、単純ではあるが核心をついた問いに始まる。この問いに答えることが、本書の目的であった。

最終氷河期が終わった紀元前1万1000年をみると、世界の各大陸に分散していた人類は、みな狩猟採集生活をおくっていた。しかしその後、人類はそれぞれの大陸ごとに異なる発展をし、技術や政治構造の不均衡が生じていった。そしてヨーロッパ社会が新世界を発見した西暦1500年の時点では、各大陸間で技術や政治構造に大きな格差が生じており、鋼鉄製の武器を持った帝国がそれらを持たない民族を侵略、征服し、滅亡させることができたのである。その当時の格差が、現代世界の不均衡につながっている。

このような大陸間の格差が生じたのは、持って生まれた能力が民族によって違うからだという、生物学的差異を持ち出した説明は、今では公には否定されている。しかしこうした考えは、意識しているか否かにかかわらず、多くの人がいまだに根強く持っているといえよう。それに対して著者は、「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」と述べ、差別的な考えをきっぱりと否定する。

人類社会に影響を与えた環境上の要因の第一に、栽培化や家畜化の候補となりうる動植物の分布状況が大陸によって異なっていたことをあげる。栽培化や家畜化のためには適性をもつ野生の動植物種の存在が必要だが、その数は大陸ごとに異なっていたというのである。世界で最初に農業が開始されたとされるメソポタミアの肥沃三日月地帯で栽培された小麦や大麦、エンドウの祖先である野生種は、大量採集可能、発芽が容易、成長が早い、貯蔵が容易、自家受粉タイプである等々の栽培化に有用な特性を、すでにいくつも持ち合わせていた。人びとは野生種の中から変異体を選抜していったが、種子をまき散らさない遺伝子と、発芽を同調させる遺伝子が出現するだけで、野生種から栽培種への移行が完了した。肥沃三日月地帯で次に栽培されたオリーブ、イチジク、ナツメヤシ、ザクロ、ブドウなどの果樹類は、さし木や播種(はしゅ)で比較的簡単に栽培できた。

一方、作物を育てるのに適している自然条件でありながら、農業が自発的に始まらなかった地域や、よそより遅れた地域があるのは、食糧生産を開始するのに見あう野生植物が存在しなかったからだと説明する。人類が主として栽培に用いている顕花植物は、種類自体は20万種と多様であるが、人間が食べられるのはそのうち数千種、実際に栽培化されているのは数百種に過ぎない。しかも栽培植物の多くは生活基盤として食生活や文明を支えるに足る植物ではなく、世界で消費される農作物の80パーセントはわずか十数種類の植物で占められている。そうした主要作物のすべてが数千年前に栽培化されており、新しい主要作物となるような植物は近世以降一つも栽培化されていないという。現代の科学をもってしても然(しか)りである。このことは、栽培化に適する植物がいかに少ないかを示しており、野生植物の栽培化は大変難しいことがわかる。メソポタミアの肥沃三日月地帯では、農作物として育成できるような野生種が豊富に、しかも群生して存在しており、野生種をそのままの形で栽培化できたのである。それに対してたとえば北米の東海岸では、気候は農業に適していたにもかかわらず、大麦や小麦のような有用な野生の穀類は自生しておらず、その結果、人口の爆発的増加を促すような食糧生産システムは生まれなかった。オーストラリア大陸やアフリカ大陸も同様である。

畜産についてはどうであろうか。家畜化には成長速度、繁殖、気性、行動の習性(社会性の形成)等の点で適性を備えていることが必要である。更新世の終わりころには、南北アメリカ大陸やオーストラリア大陸では、家畜化の対象となりうる哺乳(ほにゅう)動物が絶滅してしまったのに対し、ユーラシア大陸には家畜化に適した動物が、他の大陸よりも多く存在していた。家畜化に適した大型哺乳類は、人類史の早い時期にほとんど家畜化されている。農作物も家畜も、まさに環境の贈り物である。

世界で食料生産を独自に開始した地域は9か所以下と多くはないが、農作物や家畜は栽培・飼育技術とともに、各地に伝播していった。しかし、伝播の速度には地理的要因が大きく影響しており、東西方向には気象条件が近いことから伝播しやすいが、南北方向には困難であった。そのため、東西に広がるユーラシア大陸では伝播が速かったが、南北に長いアフリカ大陸やアメリカ大陸では、伝播は難しかった。アフリカ大陸では熱帯地域が障壁となり、アメリカ大陸では中央アメリカ低地の熱帯気候に阻止されたのである。

畜産の開始は、天然痘、インフルエンザ、結核、マラリア、ペスト、はしかといった、重篤な症状を引き起こす感染症を人類にもたらした。歴史的に繰り返し病原菌の攻撃にさらされてきた地域の民族は、しだいにその病原菌に対する抵抗力を持つ人びとの割合が増加していく。それに対し、新たな病原菌に接した民族は、甚大な被害を受けることになる。ヨーロッパのアメリカ大陸征服において、膨大な数の原住民が殺りくされているが、それよりもはるかに多い数の原住民が、ヨーロッパが持ち込んだ病原菌の犠牲になったという。メキシコでは2千万人だった人口が天然痘により160万人まで激減。北米でも本格的侵攻前に海岸地域に上陸していたスペイン人が持ち込んだ病原菌が北米内陸部まで広がり、本格的に侵攻したときには多くの先住民集落が廃墟(はいきょ)と化していたという。こうしてユーラシア大陸を起源とする病原菌は、世界各地で先住民の人口を激減、あるいは滅亡させ、さまざまな歴史的局面で結果を左右するような決定的な役割を演じたのである。

最後に著者は、ヤリの投げかけた問題の多くは未解決であるとしたうえで、将来の研究課題としての挑戦は、人類史を(天文学や地質学、進化生物学のように)歴史科学として研究することにある、とする。人類史は一般的には社会科学の範疇(はんちゅう)であろうが、人類史を含めて科学を自然科学と社会科学に分類する考えは興味深い。すなわち、天文学や気象学、地質学、進化生物学、古生物学といった自然科学の学問も、過去に会った事物を研究の対象に一般則を導き出すことを目的としており、この点では歴史学と共通しているという。

化学や物理学のように、自然科学には研究室での実験がつきものと一般的には考えられている。しかし、過去にあった出来事を研究の対象とする歴史科学では、研究室での実験が役に立つことはほとんどなく、実験を通じてではなく、観察や比較を通じてデータを収集することになる。そして、歴史科学は直接的な要因と究極の要因の間にある因果関係を研究対象とする学問であり、究極の要因とか、目的、作用といった概念は、一般的な生物系を理解するうえで、不可欠な概念であるとする。

化学や物理学では予測性のあるなしを現象解明の基準にしているのに対し、歴史科学では過去からさかのぼる説明は可能であっても先験的な説明は困難であるなど、歴史科学と非歴史科学は予測性においても異なる。歴史学者が人間社会の歴史の中から因果関係を引き出すのは困難といえるが、他の歴史科学が因果関係を追及するうえで遭遇する困難と大きく変わるものではない。人間科学としての歴史科学も他の歴史科学と同様に科学的に発展し、何が現代世界を形作り、何が未来を創るかを教えてくれるという有益な情報を我々の社会にもたらしてくれるようになるだろうと、結んでいる。



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www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20110131-OYT8T00376.htm



ダボス会議協調遠く 「金融危機後」世界描けず

先進国、財政に苦心/新興国、「責任」嫌がる

【ダボス(スイス東部)=中沢謙介、佐藤昌宏】2011年のダボス会議が30日、閉幕した。成長の中心が先進国から新興国に移る中で、食料やエネルギー問題などの新たな世界経済のリスクに対応するためには、国際協調が必要との認識を共有した。ただ、先進国は財政悪化の対応に追われ、新興国は責任の分担には及び腰で、協調への道のりが険しいことも浮き彫りになった。

新たなリスク

今回の会議では、世界経済の改善を背景に、過去2年間の金融危機克服に向けた危機対応の議論は影を潜め、「危機後」の議論が本格化した。新たなリスクとして認識されたのが、先進国の財政問題と、食料、エネルギー価格の高騰だ。

ドイツのメルケル首相は「債務問題は欧州の最大のリスク」と述べ、財政再建と成長戦略の必要性を訴えた。しかし、ドイツが財政規律に固執し、緊急支援制度の拡大に反対していることが、欧州の財政不安を招いているとの批判は根強い。

財政問題については、「金融危機も最初は米国の地域金融機関の問題だった。欧州の一部の国の財政危機から、次の世界危機が起こるかもしれない」(エコノミスト)との懸念も聞かれる。

米国も「成長の足を引っ張らないようにしながら、持続可能な財政に戻す」(ガイトナー財務長官)と説明するのがやっとで、潜在的なリスクに対する有効な処方箋を示せなかった。

インフレや社会不安を招く恐れがある食料や資源価格の高騰についても、新興国を含めて強い警戒感が示されたが、具体的な対応策を示すには至らなかった。

中国が存在感

先進国が足元の財政問題に追われる一方で、存在感を示したのが中国をはじめとした新興国だ。

中国は過去最大の参加者を送り込み、「現代中国の新たな現実」をテーマとした討論会には、定員の2倍の参加申し込みがあった。陳徳銘商務相は講演で、「この10年、市場開放を進め、世界経済に大きく貢献したという自負がある」と誇らしげに語った。

国際通貨基金(IMF)によると、11年の実質成長率予測は、中国9・6%、インド8・4%と、成長を新興国に頼る構図が続く。

ただ先進国からは、「それだけの経済力を持つ中国は国際的な役割と責任も大きくなることを自覚して行動してほしい」(菅首相)など、貿易自由化や資源問題などへの対応を積極化するよう求める声もあがった。

これに対し陳商務相は、「国連やIMFから開発途上国とみなされている。世界一の途上国としての責任と義務は負う」と述べるにとどまり、先進国が求める“応分の責任と負担”には慎重な姿勢を貫いた。

新たな時代に対応した先進国と新興国の役割については最後まで議論がかみ合わず、会議を主宰するクラウス・シュワブ氏は、「世界は『燃え尽き症候群』にかかり、各国が(自国の課題の)火消しに終始し、(国際経済安定に向けた)積極的な関与から距離を置く危険性がある」と指摘している。

(2011年1月31日 読売新聞)




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www.okinawatimes.co.jp/article/2011-01-29_14059/


地域力で「食の福祉」 自治会協力 フードバンクに606キロ
沖縄市社協贈る


2011年1月29日

【沖縄】品質に問題のない食料を集め、食事に困る人に提供するフードバンク運動を進めていた沖縄市社会福祉協議会(嘉陽宗吉会長)は28日、運動期間の2週間で集まった計606キロの食料をNPO法人フードバンクセカンドハーベスト沖縄(那覇市、奥平智子代表)に寄贈した。フードバンクは、包装の傷などで廃棄される食料を企業から寄贈してもらうのが主だが、同市社協では市内37自治会を通じて「おすそ分け」を各家庭に呼びかける「地域の善意」で食料を集めた。奥平代表は「地域主体の取り組みは聞いたことがない。各地でこうした支援が広まってくれるとありがたい」と感謝した。(新崎哲史)

市社協は、市福祉まつりなどでフードバンク活動を実施していたが、予想以上に家庭からの食料提供が多かったため、全自治会の協力を得て、今月11~25日に米や缶詰、乾麺(かんめん)などの提供を呼びかけた。

その結果、お歳暮の品々や袋に入れたお米などが公民館に届けられ同NPOへの1回の寄付としては最重量の606キロに達した。提供者からは「おなかがすいた人を支援するという目的がはっきりしていて参加しやすい」などの意見があったという。支援が集まる一方、同社協には、「食事する金もない」との相談が相次ぎ、食料はすでに10世帯に配布した。

同市社協の上原建次相談支援担当は「不況で職を失い実家に戻ったが実家も困窮し、家族で食事ができないケースもあった」と語り、「社協でフードバンク活動を担えば、そうした家庭の把握ができる。日ごろの寄贈に加え、お中元やお歳暮の時期には1人1品運動を呼びかけたい」と話した。

また、同社協の嘉陽会長も「食料を通じ、人が人を支える新しい福祉の形。提供者には日ごろ地域活動に参加しない若い子育て世代も多く、公民館が運動の中心となることで地域コミュニケーションの再興につながるのでは」と期待を込めた。





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www.sankeibiz.jp/macro/news/110129/mcb1101290504005-n1.htm



北アフリカ抗議デモ拡大か 失業、食料高騰…世界に波及

2011.1.29 05:00

チュニジアでベンアリ大統領が亡命、エジプトではムバラク大統領の退陣を求めて数千人が街頭デモに参加するなど、北アフリカ地域が大きく揺れているが、食料価格が過去最高水準に高騰していることなどで、同地域以外でも社会不安が増大し、インフレを加速させる可能性があるとの見方を、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の出席者らが示した。

工業や不動産に投資する持ち株会社、サウジ・アルコーリ・グループのアムザ・アルコーリ会長兼最高経営責任者(CEO)はダボスでのインタビューで「抗議行動は北アフリカにとどまらないだろう。失業率の上昇や食料高騰を背景に多くの国々に拡大する」と話した。

国連の世界食糧計画(WFP)の責任者は25日、厳しい財政状態にある各国政府は貧困層が食料や燃料の高騰に対処するための補助金を削減しており、社会不安のリスクが世界的に高まっていると指摘した。

独裁政権の崩壊につながったチュニジアでの政変に触発されて起きたエジプトでの反政府デモは3日間続いている。

同国の反体制派の指導者的存在で、ノーベル平和賞受賞者のエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長がデモに加わるため27日帰国。記者団に「国民は恐怖という壁を打ち破った。もはや後戻りはできない。現政権は暴力をやめ、人々の拘束を解き、人民を苦しめることをやめるべきだ」と訴えた。

同氏は、カイロで28日に予定されている反政府の抗議運動に参加する意向を明らかにした。

ムバラク大統領に退陣を促してきたエルバラダイ氏は昨年、民主化と汚職撲滅を掲げる「変化を求める国民協会(NAC)」の結成を支援。独立候補に関する憲法の規制が廃止されれば、大統領選に出馬する意向を示していた。

ニューヨーク外国為替市場では、エジプトポンドは対ドルで一時、2005年1月以来の安値をつけた。

(ブルームバーグ Serena Saitto、Ahmed A Namatalla)





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jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-19267720110128

物価下落に歯止めの兆し、コストプッシュ型なら「真のデフレ脱却」ならず


2011年 01月 28日 17:27 JST

[東京 28日 ロイター] 消費者物価(コアCPI)の下落幅の縮小傾向が12月の消費者物価統計で確認され、エコノミストの間では、デフレ脱却に向けて前進との見方が浮上している。

ただ、今年夏場の基準改定でのCPI下方改定幅は前回改定より大幅になり、0.7%ポイントにも及ぶとの試算があるほか、たとえ原油高や食料高により上昇してもコストプッシュとなるだけに「真のデフレ脱却」にはならないとも指摘されている。

<総合はプラス、コア指数も下落幅縮小>

CPIは生鮮食品やエネルギーを含む「総合指数」ではすでに10月から前年比上昇となっていた。昨夏の猛暑による野菜価格の上昇や、原油価格上昇の影響でガソリンなどが高めとなっているため。12月は野菜価格が落ちついてきており、総合指数の上昇幅はゼロに収まった。

こうした要因を除いても、コアCPIの下落幅は10月以降じわじわと縮小してきている。夏場は食料およびエネルギーを除いたベースで1.6%まで下落していたが、12月は0.7%下落まで縮小した。

エコノミストからは「名目給与が前年比でプラスを維持していることや、輸出が持ち直しつつあることも併せて考えれば、物価の基調は緩やかな下落から概ね横ばいへ変化しているとみられる」(大和証券・チーフエコノミスト・熊谷亮丸氏)との見方も浮上。「下落率の縮小が想定以上に速いペースで続いている。景気回復の恩恵を受ける形で、今後もデフレ圧力は緩和傾向をたどると予想している」(野村証券金融経済研究所・チーフエコノミスト木内登英氏)との見方も出てきた。

さらに4月には高校授業料無償化の影響による下落要因が一巡することから、4月以降のCPIコア指数はプラスに浮上するとの見方が大勢となっている。

一方で、夏場に基準年の改定が実施されると、コアCPIは今度は下方改定される可能性が高い。「ラスパイレス効果」と呼ばれるもので、基準年の品目ウエートで計算された指数は、新しい商品の出現や嗜好の変化によって、真の物価指数に対して上方バイアスを持つためだ。

第一生命経済研究所・主任エコノミストの新家義貴氏の試算では0.7%ポイントも下方改定される可能性が高いという。前回の改定時の0.5%ポイントの下方改定と比べても大きくなる。

日銀では2011年のCPI見通しをプラス0.3%に上方修正したものの、こうした基準改定の影響は織り込んでいない。「今年の基準改定によって、さらに(コアCPIのプラス転換が)1年程度後ズレする可能性がある。日本銀行は当面緩和的な金融政策を継続し、利上げは12年末頃まで行われないだろう」(大和総研)と受けとめられている。

<食料・エネルギー高によるCPI上昇は、デフレ効果>

一方で12月の統計の中身を見ると、食料やエネルギーの寄与が大きかったことから、今後も世界的な食料高や原油価格上昇で、物価上昇圧力が生じやすくなるとみられている。ただ、食料やエネルギー価格の上昇は、デフレの解消にはつながらず、コストプッシュあるいは交易条件の悪化を通してむしろデフレ圧力を強める可能性がある。モルガンスタンレーMUFG証券・チーフエコノミストの佐藤健裕氏は「仮に食料・エネルギー価格の上昇で表面的に物価が上昇しても、購買力の海外流出を招き、かえってデフレ的である」と指摘している。

今後の消費者物価動向は、景気回復が続けば需給ギャップの縮小により上昇傾向となろうが、様々な要因で方向性が変わる可能性が高い。同じ物価上昇でも、景気回復による上昇なのか、コストプッシュ型による上昇なのかの見極めも必要だ。第一生命研究所では「原油や食料品価格上昇、高校授業料の下押し一巡、基準改定など、多くの撹乱要因が複雑に絡みあうことになり、基調を判断することが非常に難しくなることが予想される」と指摘する。

(ロイター日本語ニュース 中川泉記者;編集 伊藤純夫)


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