我々は、これまで何を、食べてきたのか? いま何を、食べているのか? そして、これから何を、食べてゆきたいのか? 思索
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集落から店が“消える” 「買い物弱者」の今 不便さ、生活直撃 代行など救済策も

2010年08月01日

【写真】路線バスが走る国道34号に出るには、4キロ近く山を下りなければならない。つえをついて歩くお年寄りたち=武雄市東川登町楠峯地区

 村落共同体の崩壊とともに超高齢化の波も押し寄せる佐賀県内。若い人は出て行き、集落にあった「たばこ屋」や「魚屋」も徐々に姿を消す。交通機関は不便 で、残ったお年寄りは買い物にも通院にも骨を折る。経済産業省がリポートで名付けた「買い物弱者」の今は-。鹿島市と武雄市で現場を歩いた。

「息子が入院しとっけん、戻ってくっまで一人暮らし。食事はヘルパーが来てくれるけんよかけど、病院には一人で行かんといかん」。小雨がぱらつく中、腰 を「くの字」に曲げたお年寄りが傘もささず、自転車を押し坂道を登っていた。丘の上の市営住宅に住む男性は、81歳という。

鹿島市高津原、城内地区。江戸時代には鹿島城が築かれていた丘陵地。男性は年金暮らし。病院までタクシーを使うと往復1300円。だから雨でも自転車に乗る。そうするしかない、という。

ほかの市営住宅。70代のお年寄り3人が雑談していた。買い物は歩いて20分かかる丘の下のスーパー。「ひざが悪かけん押し車を使っている。魚やら野菜やらは自分で見て確かめんと気が済まんし…」。不便さがつきまとう。

◇   

 

 武雄市東川登町楠峯地区。山あいの細い道をくねくねと進んだ先に集落が現れる。約20世帯、70人ほどが暮らす。

路線バスに乗るには幹線の国道34号まで4キロ近く山を下りていかなければならない。行商や移動スーパーが来ていた時代もあった。今はもう来ない。歩いて国道沿いのコンビニまで行く人もいる。

車を運転するお年寄りもいるが、親類に食料など日用品を届けてもらっている独り暮らしの人も多い。息子夫婦と暮らす70代男性は「家族がいるところはまだいい。でも、あと数年もすれば、こうした問題はもっと切実になってくるかもしれない」。

人口に占める65歳以上の高齢者の割合(6月末現在)は、鹿島市が25・45%、武雄市は24・88%。ともに4人に1人がお年寄り。超高齢化社会の到来は、すぐそこだ。

◇   

 

 経済産業省は5月、商店街の衰退や交通手段の不足で、日常の買い物が不自由な高齢者層の「買い物弱者」が全国で約600万人に上ると推計した報告書を発 表。「深刻な問題」として、車両購入費の補助や販売拠点として公民館を活用するなど自治体と事業者の連携強化を求めている。

こうした事情を背景に、鹿島商工会議所は市内全域を対象に、中心商店街での購入品を配達する「買い物代行サービス」に取り組む。武雄市もミニバンを移動手段として地域に貸し出す「みんなのバス」を9月から実験的に運行する。行政や地元業者も模索を続けている。

「お迎えは近かし、今のままでよかよ。体が動かなくなってから考える」。老人がこぼしたひと言が心に残る。強がりとも、あきらめともとれる言葉。ごく近い、未来の佐賀の姿が浮かんで、消えた。


【写真】路線バスが走る国道34号に出るには、4キロ近く山を下りなければならない。つえをついて歩くお年寄りたち=武雄市東川登町楠峯地区





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