我々は、これまで何を、食べてきたのか? いま何を、食べているのか? そして、これから何を、食べてゆきたいのか? 思索
www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090925/183611/
「ジャガイモ、焼きイモ、ご飯一膳」になるかもしれない~『食料自給率100%を目ざさない国に未来はない』
2009年9月25日
(NPO連想出版 新書マップ編集部 川井 龍介)

食料自給率100%を目ざさない国に未来はない
島崎 治道 著
集英社新書
714円
休日になるとスーパーに出かけ、酒の肴や夕飯の素材を買いに行くのだが、売り場の食材のなかになんと外国産が多いことか。水産品をみればアメリカ産のホッケにチリ産の塩鮭、ロシア産の明太子にモロッコ産の真ダコ……。肉売り場に行けば、オーストラリアからのステーキ用牛肉や、カナダやアメリカからの豚肉などこれもまた外国勢がにぎやか。野菜も中国産はもはや一般的だし、果物はいうまでもなくバナナをはじめ外国産の歴史は長い。
記憶をたどってみると、生鮮食料品について国産ではない商品が並びはじめたころは、「え?外国産の魚?」と“引いた”のが、いつの間にかほとんど抵抗がなくなってしまった。これほどまでに今やあたりまえになった輸入食品だが、もしこれらが仮に今すべて途絶えたら? 農水省が想定しているこの際の日本人の食生活を本書が紹介している。これがすごい。
1日2000キロカロリー程度を確保しようとすると、「朝食は、ご飯が軽めの一膳、蒸したジャガイモ二個、ぬか漬け一皿。昼食は、焼きイモ二本、蒸したジャガイモ一個、リンゴ四分の一。夕食は、ご飯が軽めの一膳、焼きイモ一本、焼き魚一切れ。調味料は、一日で砂糖小さじ六杯と油0.6杯のみ。その他、うどんが二日に一杯、みそ汁も二日に一杯、納豆は三日で二パック、牛乳は六日でコップ一杯、卵は七日に一個、肉は九日で一食」。
この事実をどうとらえるか。お金を出せば輸入できるから、これは単なる仮説に過ぎないと思っているような人は、市場原理主義に毒されている。水や食べ物という人間の生存に不可欠なものは金には換えられない価値がある。地球的規模の気候変動による穀物の生産量の低下をはじめ、鳥インフルエンザなどが輸出国で発見された場合や、自然災害、テロによって輸出ができなくなった場合など、食料品価格が高騰、あるいは必要な量を確保できなくなる危険性を踏まえれば、そのタイトルが示すとおり、日本は農業、食糧政策を改め、食料自給率をかぎりなく引き上げるべきだ──と農業と食料論を専門とする本書の著者は提唱する。
というのもわが国の食料自給率は40%。アメリカ(128%)、フランス(122%)、ドイツ(80%)、イギリス(70%)といった先進諸国と比べても格段に低い。しかし、明治時代の1880年ごろまでは日本も自給率100%だったという。どうしてここまで下がったかを本書は歴史をたどって明らかにし、現在の国の農政を批判する。
一例を挙げれば、他の先進諸国は自給率を確保するため自国の農業を保護する政策をとっているのに対して、日本は市場原理に委ね過ぎているという。そう言われてみると、他国はグローバリズムのなかでも農業という特殊な産業への配慮があるのに対して、日本は対応が単純だという気がする。
昨今の地球温暖化による農産物への影響やウイルスなどが食品に及ぼす影響を考えると、著者のいうように広い意味での「地産地消」を推進すべきだと痛感する。加えて、なにより食べ物は文化でもある。外国の食品に偏見があるわけではないが、日本的な食べ物くらい日本の土壌で生まれたものを口にしたいという素朴な気持ちは誰にでもあるのではないか。
「ジャガイモ、焼きイモ、ご飯一膳」になるかもしれない~『食料自給率100%を目ざさない国に未来はない』
2009年9月25日
(NPO連想出版 新書マップ編集部 川井 龍介)

食料自給率100%を目ざさない国に未来はない
島崎 治道 著
集英社新書
714円
休日になるとスーパーに出かけ、酒の肴や夕飯の素材を買いに行くのだが、売り場の食材のなかになんと外国産が多いことか。水産品をみればアメリカ産のホッケにチリ産の塩鮭、ロシア産の明太子にモロッコ産の真ダコ……。肉売り場に行けば、オーストラリアからのステーキ用牛肉や、カナダやアメリカからの豚肉などこれもまた外国勢がにぎやか。野菜も中国産はもはや一般的だし、果物はいうまでもなくバナナをはじめ外国産の歴史は長い。
記憶をたどってみると、生鮮食料品について国産ではない商品が並びはじめたころは、「え?外国産の魚?」と“引いた”のが、いつの間にかほとんど抵抗がなくなってしまった。これほどまでに今やあたりまえになった輸入食品だが、もしこれらが仮に今すべて途絶えたら? 農水省が想定しているこの際の日本人の食生活を本書が紹介している。これがすごい。
1日2000キロカロリー程度を確保しようとすると、「朝食は、ご飯が軽めの一膳、蒸したジャガイモ二個、ぬか漬け一皿。昼食は、焼きイモ二本、蒸したジャガイモ一個、リンゴ四分の一。夕食は、ご飯が軽めの一膳、焼きイモ一本、焼き魚一切れ。調味料は、一日で砂糖小さじ六杯と油0.6杯のみ。その他、うどんが二日に一杯、みそ汁も二日に一杯、納豆は三日で二パック、牛乳は六日でコップ一杯、卵は七日に一個、肉は九日で一食」。
この事実をどうとらえるか。お金を出せば輸入できるから、これは単なる仮説に過ぎないと思っているような人は、市場原理主義に毒されている。水や食べ物という人間の生存に不可欠なものは金には換えられない価値がある。地球的規模の気候変動による穀物の生産量の低下をはじめ、鳥インフルエンザなどが輸出国で発見された場合や、自然災害、テロによって輸出ができなくなった場合など、食料品価格が高騰、あるいは必要な量を確保できなくなる危険性を踏まえれば、そのタイトルが示すとおり、日本は農業、食糧政策を改め、食料自給率をかぎりなく引き上げるべきだ──と農業と食料論を専門とする本書の著者は提唱する。
というのもわが国の食料自給率は40%。アメリカ(128%)、フランス(122%)、ドイツ(80%)、イギリス(70%)といった先進諸国と比べても格段に低い。しかし、明治時代の1880年ごろまでは日本も自給率100%だったという。どうしてここまで下がったかを本書は歴史をたどって明らかにし、現在の国の農政を批判する。
一例を挙げれば、他の先進諸国は自給率を確保するため自国の農業を保護する政策をとっているのに対して、日本は市場原理に委ね過ぎているという。そう言われてみると、他国はグローバリズムのなかでも農業という特殊な産業への配慮があるのに対して、日本は対応が単純だという気がする。
昨今の地球温暖化による農産物への影響やウイルスなどが食品に及ぼす影響を考えると、著者のいうように広い意味での「地産地消」を推進すべきだと痛感する。加えて、なにより食べ物は文化でもある。外国の食品に偏見があるわけではないが、日本的な食べ物くらい日本の土壌で生まれたものを口にしたいという素朴な気持ちは誰にでもあるのではないか。
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