我々は、これまで何を、食べてきたのか? いま何を、食べているのか? そして、これから何を、食べてゆきたいのか? 思索
ウォールストリートジャーナル



米FDA、食品安全で中国に協力要請

2011年 11月 4日 9:50 JST

 【北京】米食品医薬品局(FDA)は、1月に成立した食品安全近代化法の施行で中国に協力を求めている。米国にとって食料輸出国としての中国の重要性が高まっていることを示す動きだ。

 FDAの規制担当幹部は3日の会見で語ったところによると、FDA当局者は食品貿易に潜む高リスクの問題を特定・阻止するため、中国その他主要貿易相手国とのデータ共有やコミュニケーションを増やそうとしている。「双方の透明性が重要だ」という。

 食品安全近代化法は、食品が安全である証明を輸入業者が供給業者から得ることを義務づけている。当局者らは同法の目的について、食品の汚染に事後対応するのでなく、予防することが目的としている。検査基準の実現は、中国など他国の協力に大きく左右される。

記者: Laurie Burkitt


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AFP



タイ洪水、階級格差浮き彫りに 郊外住民の不満募る

2011年11月02日 17:12 発信地:バンコク/タイ

【11月2日 AFP】収束の兆しの見えないタイの大洪水が、人口1200万人の首都バンコク(Bangkok)の市民の間に顕著な分断を生んでいる。

 郊外の大部分はゆっくりと南下してきた大量の水に沈み、住民たちが日々の食事にも困窮しているのに対し、市中心部のショッピング街やホテル街、エリート層の住む住宅地などは一滴の水もなく、乾いているからだ。被災地区の住民は、都心部を守るため自分たちの家々が犠牲にされたと抗議しており、中には堤防を壊す人々も出ている。

「支援はここまでは届かない。2、3日のうちに米は底をつくけど、どうやって食料を手に入れたらいいのか分からない」。チャオプラヤ(Chao Phraya)川の西側に位置するバンプラット(Bang Phlat)地区の自宅前で、茶色い水に腰まで漬かりながらサイスニー・ソンタナさんは嘆いた。

 木造の小さな家が立ち並ぶ同地区は最も被害の大きい地区の1つで、1週間以上も冠水したままだ。車で少し走ったところにあるレストランでは、空調の効いた部屋で金持ちがディナーを食べているというのに、だ。

 支援物資を積んだトラックは毎日、都心部とバンプラット地区を結ぶ橋のところまでやってくる。しかし橋にたどり着くには、ゴミや死んだ魚が浮かんだ汚水の中を数百メートルも歩いていかなければならない。トラックが着く時間も日によってまちまちで、ほとんどの住民は支援の手の届かないところにいる。

 地元当局は、援助資金やボート、人員の不足が原因だと主張している。

 タクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相を支持する「赤シャツ隊」のデモで階級の分断があらわになったタイ社会。チュラロンコン大学(Chulalongkorn University)のThitinan Pongsudhirak氏(政治学)は、洪水によって階級格差が再び浮き彫りになっていると指摘した。ただ、「郊外を犠牲にして裕福な地域を守っている」当局の政策は意図的なものではなく、「対応が遅く非効率的な官僚主義」が原因だと話している。(c)AFP/Amelie Bottollier-Depois



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ダイヤモンドオンライン



食料自給率の低下は、
TPP反対の主因となるほど悪いことなのか


2011年11月1日

出口治明 [ライフネット生命保険㈱代表取締役社長]

 日曜日(2011年10月30日)の日経新聞に「TPP交渉参加 是か非か」という記事が掲載された。TPP賛成派の小見出しが「10年後見据えて決断必要」であったのに対し、反対派の小見出しは「食料自給率低下は必至」というものであった。食料自給率はTPP反対の主因となるほどのおおごとなのだろうか。そこで、農林水産省のHPを開いて食料自給率について、調べてみることにした。
データをきちんと見れば明らか。
食料自給率の低下は必然であった

 農林水産基本データ集を見ると、わが国の食料自給率は、カロリーベース 1が39%(2010年度概算値。目標は2020年度で50%)、生産額ベース2 が69%(目標70%)となっている。生産額ベースでは、10年後の目標をほぼ達成しているが、カロリーベースでは10%以上劣後している。そして、どうやら識者(?)が常に問題視するのは、このカロリーベースの数値であるようなのだ。

 このカロリーベースの食料自給率は過去、どのように推移してきたのだろうか。78%(1961年度)→60%(1970)→53%(1980) →48%(1990)→40%(2000)と一貫して低下傾向を辿っており、ボトムは37%(1993年度)であった。この理由は明らかで、自給率の高い(98%)米の消費量(1人1年当たり)が、1964年度対比で47%減少したのに対し、自給率の低い(16%)畜産物が128%増加、同じく自給率がほとんどない(3%)油脂類が114%増加したことが主因であろう。

 つまり、日本人が豊かになって、肉や牛乳、植物油などを食べるようになったが、山地が多く平野の少ないわが国では飼料作物や油用作物を生産する土地が十分にはなかったので、安価な外国産の畜産物や油脂類を輸入した結果として、カロリーベースの自給率が下がったというわけである。ちなみに、カロリーベースの自給率のシェア(内訳)に占めるトップ3は米が23.6%、畜産物が15.9%、油脂類が13.9%であって、この3品目で53.4%のカロリーを供給していることになる(その次は自給率8%の小麦が、13.4%のカロリーを供給している)。

 このように考えると、カロリーベースの自給率を上げるためには、食生活を昔に戻すしか他に方法がないのではないか。米に次いで自給率が高いのは野菜(77%)と魚介類(60%)であるが、各々が供給しているカロリーはわずか2.8%と4.9%に過ぎない。自給率が50%を超えているのは米と野菜と魚介類の3品目だけであり(その次は果実で自給率34%である)、この3品目で大半のカロリーを摂取するように、日本人の食生活が激変しない限り、カロリーベースの自給率50%という目標を達成することは不可能である。

 これは、この50%という目標自体が絵に描いた餅に過ぎないことを示しているのではないか。そうだとすると、食料自給率の低下は、決して悪いことではなく、単にわが国の食生活の変化を反映しているだけに過ぎないのではないか。それを、いかにも、外国から食料が入ってこなければどうするか、といった狼少年的な使い方をするのはいかがなものだろうか。

 ちなみに、カロリーベースの食料自給率というデータ自体、わが国が独自に編み出したものであり、他の先進国ではまったく使われていないことを付言しておきたい。

1.食料自給率のカロリーベースとは、国民1人1日当たりに必要なカロリーのうち、国内のカロリーで補われている割合をあらわすもの(http: //www.maff.go.jp/kinki/seibi/sekei/kokuei/yodogawa/yodogawa04-2.htmlより)。

2.食料自給率の生産額ベースとは、国内で消費された額のうち、国内で生産された額の割合をあらわすもの(http://www.maff.go.jp/kinki/seibi/sekei/kokuei/yodogawa/yodogawa04-2.htmlより)。

コメを守るというのなら
自給率より優先すべきことがある

 このように具体的な数字に則して考えてみると、TPP反対派の本音は、恐らく自給率の高いコメを守る、という一点に絞られてくるのだろう。その背景には、食料安全保障的な考え方があると思われる。

 ところで、外国から食料が入ってこなくなるような非常事態が生じれば、おそらく食料より先に石油や天然ガスが入ってこなくなり、電力もストップしてしまうであろう。仮にコメが潤沢にあったとしても、私たちは、コメをどのようにして食べればいいのだろう。本気で食料の自給率を心配するのであれば、その前にエネルギーの自給率をまず確保しなければならないのではないか。

 次に、食料安保を考えるのであれば、自給率よりも農地資源の確保の方がはるかに重要ではないか。ピーク時(1969年)には317万ヘクタールあったわが国の水稲の作付面積は163万ヘクタールへとほぼ半減してしまった。耕地面積もピーク時(1961年)の609万ヘクタール(田は69年の 344万ヘクタール、畑は58年の272万ヘクタールがピーク)から459万ヘクタール(田250万ヘクタール、畑210万ヘクタール)へと大きく減少した。とりわけ田地の減少幅が大きい。

 コメを守ると言いながら減反政策を続けて食料安保の根幹となる田地をなぜ減らし続けるのか、まったく合点がいかない。食料安保的にコメを位置づけるのであれば、何よりもまず田地を守るべきではないのか。

 また、わが国のコメの消費量は年間1人当たり約60kgである。月に直せば、約5kgであるが、これはスーパーで売っている値段に換算すれば毎月 2~3千円の出費にすぎない。仮に外国産の安いコメ(3分の1から4分の1の価格)が入ってきたとしても、どれだけ節約できるというのだろうか。この程度の金額(出費)であれば、市民の口に馴染んだわが国のコメが安い外国産のコメに価格差だけですぐにとって代わられるとは思わない。

「コメを守れ」「食料の安全保障が大切だ」という意見も、よくよく吟味すれば、正体のない幽霊のようなものではないか。ちなみに食料の安全性という観点で述べれば、日本の1ヘクタール当たりの農薬使用量はアメリカの約8倍であると言われている(山下一仁氏による)。
農業をどうやって守るのか。
見習うべきはアメリカではない

 これまでどちらかと言えば、極論に近い形で話を進めてきたが、三重県の片田舎で生まれた筆者にとって「農地を守り」「農業を守る」気概は人後に落ちないものがあると自負している。

 農業の競争力強化については、「大規模化」(規制緩和による農地の集約化)や(それとほぼ同じ意味を持つ)「株式会社化」が喧伝されることが多いが、それだけでわが国の農業が強くなるだろうか。たとえばアメリカのそれに匹敵する大規模なコメ農場が、わが国の地形上、果して実現可能だろうか。わが国の農業は大規模化を目指すだけでは、とうていアメリカやブラジル、カナダ、オーストラリアといった大国には勝てないと考える。

 ではどうするか。小国の農業を見習うことである。2009年の農業輸出額を見ると(FAOのHPによる)、トップはアメリカの621億ドルであるが、ネーデルランド(オランダ)が461億ドルで2位となっている。小国ではデンマークも130億ドルで 14位につけている。これに対して日本はわずか10億ドルで60位でしかない。これは、わが国の農業が国際競争力に欠ける何よりの証左ではないか。また、輸出額から輸入額を差し引いたネットの金額でみると、ブラジルが332億ドルで1位、2位はネーデルランドの177億ドルであり、66億ドルのデンマークが10位に浮上する。日本は、最下位のマイナス347億ドルであり、ブービーメーカーが中国のマイナス289億ドルとなっている。

 ネーデルランドは国土が小さいので穀物自給率は16%(2007年)とOECD諸国の中では最低に位置するが(わが国は28%)、輸出額の内訳をみると、高価なタバコや半加工食品、チーズや牛肉、鶏肉などが上位を占めている。これに対して、輸出額トップのアメリカは大豆、トウモロコシ、小麦のいずれも穀類がトップ3を占めている。

 わが国の農業がどちらを目指すかは明らかではないか。農地の少ないわが国が穀類に頼っていては、未来がないことは自明であると思う。わが国が見習うべきは、ネーデルランドやデンマーク型の付加価値の高い農業構造への転換であろう。畜産はもとより野菜や花卉、果物などが、大きな可能性を持つと考える。高級食材を求める発展著しい大きな市場もすぐ近くにあるではないか(中国等)。

 食料安保についてはむしろ、コメそのものではなく、水田や耕地面積を維持・確保する施策を重視すべきである。

 このように考えると、わが国のカロリーベースの食料自給率を政策目標に掲げるやり方には、そろそろ終止符を打つべきではないか。農業を本当に強くするためには、たとえば農林水産物の輸出額(現在4920億円、目標1兆円水準)等を目標に据える方が、はるかに理にかなっているように思われる。

(文中意見に係わる部分はすべて筆者の個人的見解である。)



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産経ニュース



地球規模の課題回避を 2100年には100億人到達

2011.10.31 20:26

 世界の人口が70億人に達した。人類の大きな到達点だが、高齢化や食糧不足などの課題が深刻化している。中国では計画出産のゆがみが生じ、アフリカでは多産が貧困を生む悪循環が続く。日本は少子化に歯止めがかからない。世界の今後の成長と安定を左右する「人口問題」を検証する。

 【ニューヨーク=黒沢潤】国連人口基金(UNFPA)の推計によると、世界の人口が10月31日、70億人に達した。国連の潘基文事務総長は同日午前(日本時間同日夜)、ニューヨークの国連本部で正式に発表し、人口増加による諸問題への的確な取り組みを全世界に訴える。

 世界の人口は2050年に93億人、2100年までに100億人を突破すると見込まれており、今後進む高齢化や水・食糧不足などが地球規模の課題となる。

 UNFPAが26日に発表した2011年版「世界人口白書」によれば、60歳以上の人口は現在の8億9300万人(全体の13%)から、50年には24億人(同26%)となり、先進国での社会負担は確実に増大する。

 また、ロイター通信によれば、07年から25年にかけて、発展途上国での水の利用量は50%、先進国では18%増える。米国の水研究基金(コロラド州)のロブ・レナー氏によると、地球上の水の97・5%は塩水。残る2・5%の真水のうち3分の2は凍結しており実際に使える水は多くない。水確保は切実な問題となる。

 食糧確保も重要な課題だ。世界銀行によれば、地球上の飢餓人口は9億2500万人。1995年からの食糧価格上昇も飢餓を生む原因となっている。国連食糧農業機関(FAO)は、50年までに食糧生産を現在比で70%増加させる必要があると指摘している。

 こうした人口増がもたらす諸問題に全世界の目を向けさせるため、国連は31日に生まれる乳児全員を「70億人目」とみなすことを決めた。約21万人が対象だ。

 これまでは87年7月に旧ユーゴスラビア(現クロアチア)で生まれた男児を「50億人目」と認定、当時の国連事務総長が現地で祝福した。また99年10月、ボスニア・ヘルツェゴビナの男児を「60億人目」と認定した。




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日経BP



70億人突破 地球は増える人口を養えるか

2011年10月31日

 国連によると、10月31日、70億人目の赤ちゃんが生まれた。世界人口が1804年に10億人に達するまでに 20万年以上かかったが、60億人から70億人になるには、12年しかかからなかった。一時より増加率は鈍ってきたとはいえ、2050年には93億人に達し、2100年に105億人になるまで増加がつづく予想だ。地球は果たしてこれだけの人口を養えるのだろうか。

急増と急減の人口の歴史

 人類は長い間、人口過剰に危機感を抱いてきた。イギリスの聖職者で経済学者のトーマス・マルサスが1798年に『人口論』を発表し、「人口は等比級数的に増加するのに対し、食料生産は等差級数的にしか伸びない」という「マルサスの法則」を唱えたのはよく知られている。彼は食料不足によって人口が増えつづけることはありえないと考えた。

 その後も、「戦争や疫病や飢餓によって減り、人口が永遠に増え続けることはない」といった説が多く提唱された。

 だが、マルサス以降の200年間、まさに彼の法則に反することが起きた。ジャガイモやトウモロコシなど、コロンブスが新大陸から持ち帰った作物の普及や、化学肥料や農薬が開発されたおかげで食料生産が拡大し、栄養が改善されて飢餓人口は急速に減った。

 マルサスが『人口論』を発表した同時期に、イギリスのエドワード・ジェンナーが天然痘ワクチンを開発し、その後も各種のワクチンや新薬が開発された。さらに下水道の普及など公衆衛生の改善によって、つねに死亡原因の上位にあったコレラやチフスなどの感染症が急減した。この結果、まずヨーロッパで人口爆発起きた。

 第二次世界大戦をはさんで、人口増加地域は先進国から発展途上地域に移った。「多産多死」から「多産少死」へ人口動態が転換したことが大きい。 1962年には人口増加率は年2.19%という統計史上最高を記録した。これは32年足らずで人口が倍増するという猛スピードだ。その後10年間にわたって2%を超える高い増加率がつづいた。

 この60~70年代は人口急増の恐怖が世界を覆っていた。「人口爆発」「人口時限爆弾」「人口暴走」といったことばが、マスメディアにさかんに登場したのもこのころだ。しかし、80年代に入って人口増加率は下がりはじめて、最新の10年の国連推計では1.16%台まで急減した。人口が倍増する年数は約60年にまで延びた。92年当時の国連の将来予測では、2050年には世界人口が100億人を超えるはずだったが、最新の推計では93億人に下方修正された。

 一方、欧米諸国や日本は戦後のベビーブームで出生率はいったん急上昇したが、その後再び大きく低下し、先進国は次々に少子化の波に襲われている。最近では、特殊合計出生率(女性が生涯に産む子ども数)が人口置換水準(増減なしの静止状態)の2.1を下回る国も増えてきた。

 これに長寿化が加わり、途上国の平均寿命は10年には57歳になって過去半世紀間で20歳も伸び、先進国でも11歳も延びては77歳に達した。「少子高齢化」は欧米日から韓国、シンガポールなどアジアの国々にも広がってきた。

オランダの1万3385倍

 2050年を考えると、これから23億人の人口が上乗せされる。つまり、現在の中国、インドを併せた人口に近い。地球のスペースと資源は有限であり、無限に増えつづけることはありえない。地球は本当にこれだけの人口を養えるのだろうか。

 地球の定員をめぐる論争の起源を振り返ってみると、17世紀のオランダで活躍した織物商でアマチュア科学者だった、アントニ・ファン・レーウェンフックにいきつく。フェルメールの名画『天文学者』『地理学者』のモデルだったいえば、その顔は思い浮かぶだろう。

 彼は500もの顕微鏡を自作して、当時としては最高倍率の200倍を達成した。繊維製品を検査するときに使った虫眼鏡から顕微鏡に関心を持ったらしい。彼は身の回りのものを片端から拡大して、池の水から微生物を発見するなど、微小生物学に大きく貢献した。

 1677年秋のある日、妻とベッドの上で励んだ後、急いで自分の研究室に走り、彼は例の出したばかりの白い液体を顕微鏡でのぞき込むと、小さなオタマジヤクシのようなものが、無数に泳いでいるのが見えた。彼は「精液の砂粒ほどの量のなかに、1000匹以上もの微小動物が含まれる」という論文書いた。ただ、この精液は医学生から送られてきた淋病患者のものだったとする説もある。

 彼はこんな疑問を抱いた。「生命の源になる精子がこれだけいるのなら、地球はどこまで人が増えるのだろう」。彼は、オランダの人口は100万人くらいと推測し、世界地図から地球上で人間が住める面積をオランダ国土の1万3385倍だと計算した。

 当時のオランダはすでに過密状態だったので、世界もいずれはオランダと同じ人口密度になるだろうと考え、地球上に住める人口は最大で133億8500万人程度という結論を導き出した。これは地球の人口の扶養限界を推定した初めての試みである。ちなみに当時の世界人口は5億人ほどと推定される。

地球の扶養力

 経済学者のジョエル・コーエンが著した『新人口論』(邦訳・農文協)によると、これまで地球の扶養力を計算した例は67例ある。一番小さくて10 億人、大きいのは1兆人。地球上でどれくらいの食料生産が可能かを割り出し、1人あたりの必要量で割る予測だけをみると、おおよそ40億人から160億人の間に収まる。その平均をとると120億人だ。この数字通りだとすれば、地球にはまだ余裕がある。

 一方で、米ワシントンにある環境資源シンクタンク「ワールドウォッチ研究所」の試算は、穀物の年間消費量から割り出している。

 それによると、もしも全人類が「米国的な食生活」(年間ひとり約800kgの穀物)を享受するとすれば27.5億人で、すでに2.5倍にもなっている。「イタリア的な食生活」(約400kg)とすれば55億人。「インド的な食生活」(約200kg)とすれば110億人で、22世紀はじめの世界人口の予測に近い。

 国連食糧農業機関(FAO)の試算では、1990年の農業生産水準を前提にして、「米国的生活」23億人、「欧州的生活」41億人、「日本人的生活」61億人、「バングラデシュ的生活」109億人、「生存ぎりぎりの最低生活水準」では150億人としている。

 やはり、最大の関心は食料生産である。現在、世界人口は年間8000万人ずつ増加している。1人あたりの農地面積は0.23haだから、毎年新たに必要な農地は1840万haになる。これは日本の面積の半分に相当する。2050年の世界人口93億人を養うには21億haの農地が必要となり、現在の 1.4倍になる。

 つまり、これから4割の農地を増やさないと人口は養えなくなる。その一方で農地は、宅地など非農地用途への転用、過剰耕作や塩類の蓄積による劣化などによって、毎年2000~3000万haが失われていると推計される。

 FAOは各国から専門家を招集して「2050年の世界をいかに養うか」というレポートをまとめた。この中で、2000年をベースにして2050年までに、世界の穀物生産を約21億tからさらに10億t以上増産する必要があるとしている。単純に計算すると、農地面積を5割近く増やす必要がある。

 日本の農林水産省の試算では、人口増加や中国など新興国の経済成長を受け、コメ、小麦など2020年の穀物消費量は2008年より5億t増えて 27億tになる。一方で、生産量は26.5億tにとどまり需要が供給を上回る。穀物在庫が取り崩され、在庫率は15%とFAOが危険水準とする 17~18%を下回る見通しだ。

水資源の枯渇

 将来の農業生産を左右するのは水資源である。1tの作物を生産するのに、コメで3600t、大豆で2500t、小麦では2000tの水を必要とする。食料は文字通り水の塊である。世界の水需要量の約7割を農業用水が占める。工業用水は約2割、生活用水は約1割だ。だが、過去半世紀の間に、世界の水需要は約3倍に膨れあがった。

 人類はすでに、地球を循環している水資源の半分余を利用しており、これに人口増や生活水準の向上による消費の増大や、汚染と乱開発による水資源の減少が加わって、各地で水を奪い合う紛争が激化している。

 世界人口の5人に1人が、量的・質的に十分な飲料水を確保できず、国連や世界銀行は水資源が決定的に不足の段階に入ったことを警告している。 2025年には48カ国で水が不足する見込みだ。気候変動で各地の雨の降り方が、地理的・季節的な偏りがひどくなりつつある。その変化は、湿潤地方で降水量が増加し、乾燥地帯で少なくなる傾向が顕著で、洪水と干ばつの増加が懸念されている。

 「20世紀は石油をめぐる戦争が起きたが、21世紀は水をめぐる戦争になる」という予言が現実味を帯びてきた。

 今後、世界人口はどうなっていくのだろうか。

 国連の推計では、2030年までに世界の多くの国で「合計特殊出生率」が「人口置換水準」にまで下がる。「人口時限爆弾」の針の歩みが遅くなったことは間違いない。

 しかし今後20年の間に、人類史上かつて経験したことがないほど多くの子どもたちが出産年齢に達する。仮に1人の女性が2人しか子どもを産まなくても、今後25年間は人口が増えつづける。果たして、地球はその子どもたちを養ってくれるのだろうか。



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