我々は、これまで何を、食べてきたのか? いま何を、食べているのか? そして、これから何を、食べてゆきたいのか? 思索
AFP
米国、東アフリカに1億ドルの追加食糧支援へ
2011年10月26日 13:45 発信地:ワシントンD.C./米国
【10月26日 AFP】米国のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官は24日、干ばつ被害を受けている東アフリカに対し、1億ドル(約80億円)の追加食糧支援を行うと発表した。東アフリカでは、無政府状態の続くソマリアを中心に、数百万人規模の人びとが餓死する危険性も出ている。
米国の外国支援予算は少ないが、クリントン長官は、世界的食料不足の長期的原因の解消を目指す取り組み「Feed the Future(将来の食を守る)」を掲げるバラク・オバマ(Barack Obama)政権にとって、食糧安全保障は最重要課題の1つだと述べた。
オバマ政権はすでにアフリカ大陸北東部の「アフリカの角(Horn of Africa)」の食糧危機に対する支援として、6億4700万ドル(約490億円)を拠出している。
クリントン長官は支援の詳細については触れなかったが、これまでの6億4700万ドルは世界食糧計画(World Food Program、WFP)などの支援機関・団体に提供されている。(c)AFP/Shaun Tandon
米国、東アフリカに1億ドルの追加食糧支援へ
2011年10月26日 13:45 発信地:ワシントンD.C./米国
【10月26日 AFP】米国のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官は24日、干ばつ被害を受けている東アフリカに対し、1億ドル(約80億円)の追加食糧支援を行うと発表した。東アフリカでは、無政府状態の続くソマリアを中心に、数百万人規模の人びとが餓死する危険性も出ている。
米国の外国支援予算は少ないが、クリントン長官は、世界的食料不足の長期的原因の解消を目指す取り組み「Feed the Future(将来の食を守る)」を掲げるバラク・オバマ(Barack Obama)政権にとって、食糧安全保障は最重要課題の1つだと述べた。
オバマ政権はすでにアフリカ大陸北東部の「アフリカの角(Horn of Africa)」の食糧危機に対する支援として、6億4700万ドル(約490億円)を拠出している。
クリントン長官は支援の詳細については触れなかったが、これまでの6億4700万ドルは世界食糧計画(World Food Program、WFP)などの支援機関・団体に提供されている。(c)AFP/Shaun Tandon
PR
レコードチャイナ
農業離れによる食糧不足=中国社会の足元すくう可能性―中国紙
2011年10月24日、多くの途上国が農業を犠牲にし、工業化によって発展を目指す中で、かつての農産物の輸出国が輸入国へと変わるなど、農業が大きく衰退しているケースが見られる。“最大の発展途上国”である中国でも同様に農業が荒廃しつつあり、このままでは近い将来にも食糧不足に陥り、社会の安定を失う可能性さえあるという。中国経営報が報じた。以下はその要約。
かつてインドやフィリピンは、農産物の輸出大国であった。しかし、現在は輸入国へと“転落”してしまっている。原因は、農業を犠牲に工業化を図ることによって発展を進めてきたことにある。
中国では、農業に前途を見出せない若い世代がどんどん都市部へ流入し、いまや農村は老人や病人・弱者の留守の地とさえなってしまっている。農業が廃れてきたのは、工業化を進める一方で、政府が産業としての農業を十分に重視せず、政策上の“犠牲者”としてきたことも原因の1つである。何を作っても、何を育てても大した収入にはならないことが農民の積極性を奪い、農業に壊滅的な打撃を与えてきた。
どんな国においても、農業の経済的な波及効果は第2次、第3次産業よりも劣るため、農業は脆弱な産業に属すると認識されている。しかしそれ故に、その国が長期的な展望を持っているのかどうかが、農業に対する取り組み姿勢によって判断できる。人口10億人以上のこの大国で、農地が荒れ、誰も農業に就かなければ、将来の食糧不足が社会の安定を失わせる大きな火種となる可能性さえある。
世界最大の農業国はどの国か?答えは、後進国や途上国でなく、しかも伝統的な農業国であるインドや中国でもない。世界で最も発展している工業国家・米国である。米国の食糧輸出量は毎年世界の35%前後を占めており、その中でも小麦は60%を占めるに至っている。また、世界第2の農業国も発展途上国ではなく、先進国のオーストラリアである。
米国の農業人口は全人口の約2%、600万人に過ぎず、中国の農業人口の1%未満しかいない。しかも、米国では農業に対し年間150億ドル以上の助成金を支給しており、農民の収入や総生産高など、中国の農業と差は著しい。
長期的な展望を持つ国家であるためには、一貫して継続することだけでなく、犠牲を払うことも必要である。中国農業の現代化・改革が出来るかどうか、中国にとっては大きな試練となるだろう。(翻訳・編集/HA)
2011-10-26 06:02:30
農業離れによる食糧不足=中国社会の足元すくう可能性―中国紙
2011年10月24日、多くの途上国が農業を犠牲にし、工業化によって発展を目指す中で、かつての農産物の輸出国が輸入国へと変わるなど、農業が大きく衰退しているケースが見られる。“最大の発展途上国”である中国でも同様に農業が荒廃しつつあり、このままでは近い将来にも食糧不足に陥り、社会の安定を失う可能性さえあるという。中国経営報が報じた。以下はその要約。
かつてインドやフィリピンは、農産物の輸出大国であった。しかし、現在は輸入国へと“転落”してしまっている。原因は、農業を犠牲に工業化を図ることによって発展を進めてきたことにある。
中国では、農業に前途を見出せない若い世代がどんどん都市部へ流入し、いまや農村は老人や病人・弱者の留守の地とさえなってしまっている。農業が廃れてきたのは、工業化を進める一方で、政府が産業としての農業を十分に重視せず、政策上の“犠牲者”としてきたことも原因の1つである。何を作っても、何を育てても大した収入にはならないことが農民の積極性を奪い、農業に壊滅的な打撃を与えてきた。
どんな国においても、農業の経済的な波及効果は第2次、第3次産業よりも劣るため、農業は脆弱な産業に属すると認識されている。しかしそれ故に、その国が長期的な展望を持っているのかどうかが、農業に対する取り組み姿勢によって判断できる。人口10億人以上のこの大国で、農地が荒れ、誰も農業に就かなければ、将来の食糧不足が社会の安定を失わせる大きな火種となる可能性さえある。
世界最大の農業国はどの国か?答えは、後進国や途上国でなく、しかも伝統的な農業国であるインドや中国でもない。世界で最も発展している工業国家・米国である。米国の食糧輸出量は毎年世界の35%前後を占めており、その中でも小麦は60%を占めるに至っている。また、世界第2の農業国も発展途上国ではなく、先進国のオーストラリアである。
米国の農業人口は全人口の約2%、600万人に過ぎず、中国の農業人口の1%未満しかいない。しかも、米国では農業に対し年間150億ドル以上の助成金を支給しており、農民の収入や総生産高など、中国の農業と差は著しい。
長期的な展望を持つ国家であるためには、一貫して継続することだけでなく、犠牲を払うことも必要である。中国農業の現代化・改革が出来るかどうか、中国にとっては大きな試練となるだろう。(翻訳・編集/HA)
2011-10-26 06:02:30
日経ビジネスオンライン
なぜ、アメリカやEUのように「直接支払い」に移行できないのか?
「自由貿易」と併用して消費者利益と農業保護の両立を
山下 一仁
農政は、778%という異常に高い税率の関税を米にかけるなどして、国内農産物市場を外国産農産物から守ってきた。にもかかわらず、農業が衰退してきたということは、その原因がアメリカやオーストラリアなどの海外にではなく国内にあることを意味している。TPPに参加する、しないにかかわらず、現在の政策では農業の衰退をとめることはできない。
高い関税で国内の農産物市場を守っても、市場は高齢化・人口減少で、どんどん縮小していく。日本農業を維持・振興していくためには、海外の市場に関税撤廃などを求め、環太平洋経済連携協定(TPP)などの貿易自由化交渉に積極的に参加していく必要がある。高齢化・人口減少時代において、米中心、それも供給制限による価格支持を中心としてきた今までの農政では、日本の農業に課せられた役割――食料安全保障、洪水防止や水資源の涵養などの農業の多面的機能の維持――を果たせない。
日本の農政は、アメリカやEUなど世界の農政の潮流から、20年以上遅れている。アメリカやEUが農業保護を「納税者負担」に移行させているのに対して、日本はいまだに「消費者負担」に依存しているからだ。
OECD(経済協力開発機構)が開発したPSE(生産者支持推定量)という農業保護の指標は、「納税者負担」と「消費者負担」の部分から成る。「納税者負担」は財政負担によって農家の所得を維持している部分。「消費者負担」は、消費者が安い国際価格ではなく、高い国内価格を受け入れることで農家に所得移転している部分だ。国内価格と国際価格との差(内外価格差)に生産量を乗じて算出する。
アメリカやEUの農業保護は納税者負担に移行
各国のPSEの内訳を見ると、アメリカやEUにおいて消費者負担の割合は減少する傾向にある。ウルグアイ・ラウンド交渉で基準年とされた 1986~88年の値はアメリカで37%、EUで86%。これに対して2009年の数値は、アメリカが15%、EUが24%となっている。日本は90%が 84%になっただけで、20年間変化はない。
次の表に示すように、アメリカやEUにおける農業保護は、「価格支持」(消費者負担への依存)――関税を課すことで高い国内価格を維持すること ――から財政による「直接支払い」(納税者負担への依存)――農家に対して補助金を払うことで農家の所得を維持すること――に移行しているのだ。にもかかわらず、日本の農業保護は依然として価格支持中心である。国内価格が国際価格を大きく上回るため、高関税が必要となる。
表 日・米・EUの政策比較
項目 国 日本 アメリカ EU
生産と関連しない直接支払い × ○ ○
環境直接支払い △(限定した農地) ○ ○
条件不利地域直接支払い ○ × ○
減反による価格支持+直接支払い(戸別所得補償政策) ● × ×
1000%以上の関税 こんにゃくいも なし なし
500―1000%の関税 コメ、落花生、でんぷん なし なし
200―500%の関税 小麦、大麦、バター、脱脂粉乳、豚肉、砂糖、雑豆、生糸 なし バター、砂糖
(改革により100%以下に引下げ可能)
『価格支持』を取る国において、消費者は、この内外価格差に相当する負担を行っていると認識して、農産物を購入しているわけではない。これに対し「財政負担」の政策は、負担額が国民の前に明らかになる。透明性が高いのだ。
また、「消費者負担」による価格支持は、豊かな消費者にも貧しい消費者にも農業保護のコストを等しく負担させる逆進的なものである。しかし、「財政負担」ならば、累進課税制度の下で裕福な者に多く負担させることができる。この意味で公平なものである。
財政負担の導入で消費者利益が増大
消費者は、関税や課徴金が課されている外国産農産物に対しても内外価格差部分を負担している。小麦の場合、消費者は、消費量の1割を占める国産小麦に負担している内外価格差分と同等の負担を、9割を占める外国産小麦についても負担している。
国産農産物についての消費者負担を財政負担に置き換えると、外国産農産物に対する負担は自動的に消滅する。食料品価格は低下し、消費者は大きなメリットを受ける。つまり、国民経済全体への負担を財政負担型の政策に転換することで消費者への負担を大きく減少させることができるわけだ。これは東日本大震災やリストラなどで所得が低下し生活に困っている人たちにとって朗報だ。
自由貿易と直接支払いで消費者の利益と農業の保護を両立できる
価格支持はすべての農家に広く薄く効果が及ぶのに対し、直接支払いは、受益の対象を真に政策支援が必要な農業者に限定することができる。このように対象を限定することによって、農業保護コストを、従来の消費者負担額より少ない額で財政負担に置き換えることが可能となる。
加えて、主業農家への保護政策を集中することによって、零細な農家が退出し、農地が主業農家に集まるようになる。農家の規模拡大によってコスト・ダウンが達成できれば、必要な財政負担をさらに圧縮することが可能となる。
自由貿易を進めるだけでは、消費者の利益は増えるが、農業の国内生産は減少し、食料安全保障や多面的機能の効果も低下する。関税では、国内生産は維持できるが、消費者の利益は損なわれる。自由貿易によって国内価格を引き下げると同時に農家への直接支払いによって国内生産を維持すれば、消費者の利益を増加させるとともに、食料安全保障や多面的機能を実現することができる。OECDや経済学者が、「直接支払いは関税や価格支持に勝る政策である」と主張するのはこのためである。
アメリカもEUも直接支払いによって、国際市場で競争している。適切な直接支払いを導入すれば、TPPを推進しても、国内農業は潰れないどころか、海外市場に向かって大いに発展する可能性がある。
なぜEUでは農政改革が進み、日本では進まないのか
EUは加盟国が27カ国に上り、合意形成は相当困難なはずなのに、価格支持から直接支払いへという改革を着実に実施している。なぜEUでは農政改革が進み、日本では進まないのだろうか。
日本の農協の収益が高い農産物価格とリンクしていることが原因だ。
農業の政治団体はEUにもある。しかし、価格に固執する圧力団体はEUには存在しない。関税撤廃で国内農産物価格が下がっても、直接支払いで補てんされるため、農家は困らないからだ。日本の場合、価格が下がると、農協の販売手数料が低下する。
自民党政権時代は、米価が下がると政府は市場から米を買い入れて米価を戻してきた。民主党政権になってから、農協の度重なる要請にもかかわらず、赤松広隆、山田正彦の2大臣は米の政府買入れを拒否してきた。農家保証価格と市場価格の差を補てんする戸別所得補償を導入したので、農家は困らないからだ。
小沢一郎氏や彼に近い赤松、山田両大臣は、戸別所得補償を導入することで農家と農協の間に楔(くさび)を打ち込み、自民党と二人三脚で発展してきた農協の力をそごうとしたのだろう。小沢氏は、農協に補助金を与えて農民票を組織させるという間接的なやり方に代え、戸別所得補償で農家票を直接捕えようとしたと考えられる。
しかし、改革は簡単には進まない。農協の機関紙である「日本農業新聞」を通じた、農家に対する影響力は依然として強力である。
また、保護の対象とする農家を減らして構造改革を進めようという考え方には、農家票のうち圧倒的多数を占める兼業農家の票を意識した民主党議員に強い抵抗がある。小選挙区制の悪い効果である。仮に農家票が1%程度にすぎなくても、それが対立候補に流れると2%の差が生じる。2人で1議席を争っている時、得票率50%対50%が49%対51%に変化してしまう。これを挽回するのは容易ではない。従って、直接支払いは認めても、バラマキは止められない。農業の構造改革が進まないので、輸入価格の低下につながる貿易自由化交渉を進めようという頭にはなかなかなれない。
なぜ、アメリカやEUのように「直接支払い」に移行できないのか?
「自由貿易」と併用して消費者利益と農業保護の両立を
山下 一仁
農政は、778%という異常に高い税率の関税を米にかけるなどして、国内農産物市場を外国産農産物から守ってきた。にもかかわらず、農業が衰退してきたということは、その原因がアメリカやオーストラリアなどの海外にではなく国内にあることを意味している。TPPに参加する、しないにかかわらず、現在の政策では農業の衰退をとめることはできない。
高い関税で国内の農産物市場を守っても、市場は高齢化・人口減少で、どんどん縮小していく。日本農業を維持・振興していくためには、海外の市場に関税撤廃などを求め、環太平洋経済連携協定(TPP)などの貿易自由化交渉に積極的に参加していく必要がある。高齢化・人口減少時代において、米中心、それも供給制限による価格支持を中心としてきた今までの農政では、日本の農業に課せられた役割――食料安全保障、洪水防止や水資源の涵養などの農業の多面的機能の維持――を果たせない。
日本の農政は、アメリカやEUなど世界の農政の潮流から、20年以上遅れている。アメリカやEUが農業保護を「納税者負担」に移行させているのに対して、日本はいまだに「消費者負担」に依存しているからだ。
OECD(経済協力開発機構)が開発したPSE(生産者支持推定量)という農業保護の指標は、「納税者負担」と「消費者負担」の部分から成る。「納税者負担」は財政負担によって農家の所得を維持している部分。「消費者負担」は、消費者が安い国際価格ではなく、高い国内価格を受け入れることで農家に所得移転している部分だ。国内価格と国際価格との差(内外価格差)に生産量を乗じて算出する。
アメリカやEUの農業保護は納税者負担に移行
各国のPSEの内訳を見ると、アメリカやEUにおいて消費者負担の割合は減少する傾向にある。ウルグアイ・ラウンド交渉で基準年とされた 1986~88年の値はアメリカで37%、EUで86%。これに対して2009年の数値は、アメリカが15%、EUが24%となっている。日本は90%が 84%になっただけで、20年間変化はない。
次の表に示すように、アメリカやEUにおける農業保護は、「価格支持」(消費者負担への依存)――関税を課すことで高い国内価格を維持すること ――から財政による「直接支払い」(納税者負担への依存)――農家に対して補助金を払うことで農家の所得を維持すること――に移行しているのだ。にもかかわらず、日本の農業保護は依然として価格支持中心である。国内価格が国際価格を大きく上回るため、高関税が必要となる。
表 日・米・EUの政策比較
項目 国 日本 アメリカ EU
生産と関連しない直接支払い × ○ ○
環境直接支払い △(限定した農地) ○ ○
条件不利地域直接支払い ○ × ○
減反による価格支持+直接支払い(戸別所得補償政策) ● × ×
1000%以上の関税 こんにゃくいも なし なし
500―1000%の関税 コメ、落花生、でんぷん なし なし
200―500%の関税 小麦、大麦、バター、脱脂粉乳、豚肉、砂糖、雑豆、生糸 なし バター、砂糖
(改革により100%以下に引下げ可能)
『価格支持』を取る国において、消費者は、この内外価格差に相当する負担を行っていると認識して、農産物を購入しているわけではない。これに対し「財政負担」の政策は、負担額が国民の前に明らかになる。透明性が高いのだ。
また、「消費者負担」による価格支持は、豊かな消費者にも貧しい消費者にも農業保護のコストを等しく負担させる逆進的なものである。しかし、「財政負担」ならば、累進課税制度の下で裕福な者に多く負担させることができる。この意味で公平なものである。
財政負担の導入で消費者利益が増大
消費者は、関税や課徴金が課されている外国産農産物に対しても内外価格差部分を負担している。小麦の場合、消費者は、消費量の1割を占める国産小麦に負担している内外価格差分と同等の負担を、9割を占める外国産小麦についても負担している。
国産農産物についての消費者負担を財政負担に置き換えると、外国産農産物に対する負担は自動的に消滅する。食料品価格は低下し、消費者は大きなメリットを受ける。つまり、国民経済全体への負担を財政負担型の政策に転換することで消費者への負担を大きく減少させることができるわけだ。これは東日本大震災やリストラなどで所得が低下し生活に困っている人たちにとって朗報だ。
自由貿易と直接支払いで消費者の利益と農業の保護を両立できる
価格支持はすべての農家に広く薄く効果が及ぶのに対し、直接支払いは、受益の対象を真に政策支援が必要な農業者に限定することができる。このように対象を限定することによって、農業保護コストを、従来の消費者負担額より少ない額で財政負担に置き換えることが可能となる。
加えて、主業農家への保護政策を集中することによって、零細な農家が退出し、農地が主業農家に集まるようになる。農家の規模拡大によってコスト・ダウンが達成できれば、必要な財政負担をさらに圧縮することが可能となる。
自由貿易を進めるだけでは、消費者の利益は増えるが、農業の国内生産は減少し、食料安全保障や多面的機能の効果も低下する。関税では、国内生産は維持できるが、消費者の利益は損なわれる。自由貿易によって国内価格を引き下げると同時に農家への直接支払いによって国内生産を維持すれば、消費者の利益を増加させるとともに、食料安全保障や多面的機能を実現することができる。OECDや経済学者が、「直接支払いは関税や価格支持に勝る政策である」と主張するのはこのためである。
アメリカもEUも直接支払いによって、国際市場で競争している。適切な直接支払いを導入すれば、TPPを推進しても、国内農業は潰れないどころか、海外市場に向かって大いに発展する可能性がある。
なぜEUでは農政改革が進み、日本では進まないのか
EUは加盟国が27カ国に上り、合意形成は相当困難なはずなのに、価格支持から直接支払いへという改革を着実に実施している。なぜEUでは農政改革が進み、日本では進まないのだろうか。
日本の農協の収益が高い農産物価格とリンクしていることが原因だ。
農業の政治団体はEUにもある。しかし、価格に固執する圧力団体はEUには存在しない。関税撤廃で国内農産物価格が下がっても、直接支払いで補てんされるため、農家は困らないからだ。日本の場合、価格が下がると、農協の販売手数料が低下する。
自民党政権時代は、米価が下がると政府は市場から米を買い入れて米価を戻してきた。民主党政権になってから、農協の度重なる要請にもかかわらず、赤松広隆、山田正彦の2大臣は米の政府買入れを拒否してきた。農家保証価格と市場価格の差を補てんする戸別所得補償を導入したので、農家は困らないからだ。
小沢一郎氏や彼に近い赤松、山田両大臣は、戸別所得補償を導入することで農家と農協の間に楔(くさび)を打ち込み、自民党と二人三脚で発展してきた農協の力をそごうとしたのだろう。小沢氏は、農協に補助金を与えて農民票を組織させるという間接的なやり方に代え、戸別所得補償で農家票を直接捕えようとしたと考えられる。
しかし、改革は簡単には進まない。農協の機関紙である「日本農業新聞」を通じた、農家に対する影響力は依然として強力である。
また、保護の対象とする農家を減らして構造改革を進めようという考え方には、農家票のうち圧倒的多数を占める兼業農家の票を意識した民主党議員に強い抵抗がある。小選挙区制の悪い効果である。仮に農家票が1%程度にすぎなくても、それが対立候補に流れると2%の差が生じる。2人で1議席を争っている時、得票率50%対50%が49%対51%に変化してしまう。これを挽回するのは容易ではない。従って、直接支払いは認めても、バラマキは止められない。農業の構造改革が進まないので、輸入価格の低下につながる貿易自由化交渉を進めようという頭にはなかなかなれない。
時事通信
女性現職が圧勝=アルゼンチン大統領選
【サンパウロ時事】南米アルゼンチンで23日、大統領選の投開票が行われた。選管の中間集計(開票率約60%)では、女性の現職クリスティナ・フェルナンデス大統領(58)が得票率53%で、他の候補を大きく引き離して圧勝。大統領は同日夜、「皆の勝利だ。私についてきてほしい」と勝利宣言した。
世界有数の穀物生産・輸出国のアルゼンチンは、国際食料価格の上昇などを背景に、2010年は9.2%の高成長を記録。11年も約8%の伸びが見込まれている。フェルナンデス氏は経済成長の継続などを公約。8月の大統領予備選では得票率が過半数に達し、再選が確実視されていた。
(2011/10/24- 11:45)
女性現職が圧勝=アルゼンチン大統領選
【サンパウロ時事】南米アルゼンチンで23日、大統領選の投開票が行われた。選管の中間集計(開票率約60%)では、女性の現職クリスティナ・フェルナンデス大統領(58)が得票率53%で、他の候補を大きく引き離して圧勝。大統領は同日夜、「皆の勝利だ。私についてきてほしい」と勝利宣言した。
世界有数の穀物生産・輸出国のアルゼンチンは、国際食料価格の上昇などを背景に、2010年は9.2%の高成長を記録。11年も約8%の伸びが見込まれている。フェルナンデス氏は経済成長の継続などを公約。8月の大統領予備選では得票率が過半数に達し、再選が確実視されていた。
(2011/10/24- 11:45)
毎日新聞
今週の本棚:松原隆一郎・評 『異常な契約 TPPの…』=ジェーン・ケルシー編著
◇『異常な契約 TPPの仮面を剥ぐ』
(農文協・2730円)
◇社会的規制の撤廃がもたらす危機
反TPP(The Trans-Pacific Partnership Agreement=環太平洋経済連携(パートナーシップ)協定)の立場を露骨に示す邦題だが、実は原題を忠実に訳している。編著者はオークランド大学教授。TPPを立ち上げた4カ国のひとつであるニュージーランドと続いて参加した豪州から19名の法律家・エコノミストが寄稿して、2010年にオバマ政権主導で推進されるようになったこの協定につき様々な分野と視点から精緻に分析している。
日本では昨年末に菅前首相が「国を開く」というキャッチフレーズで関係国との協議開始を指示、大震災でいったん先送りしたものの、今また野田首相が農業再生策に絡めながら参加に熱意を示し始めた。
けれどもわが国での推進論には首を傾(かし)げたくなる。関税撤廃で貿易と投資を自由化すれば、製造業は一層の競争力を得て輸出を増やす。一方、これまで保護してきたにもかかわらず担い手が高齢化した農業も、開国で競争力をつければ再生する。そう主張される。だが(外国との比較で)競争力をつけたからといって、その産業が輸出できる(もしくは輸入財に負けない)という保証はない。
仮にわが国のすべての産業が世界一の技術力を誇っているとしよう。日本製品は、いったんは自動車からコメに至るまで、大いに輸出されるだろう。けれどもそれで貿易黒字が貯(た)まれば、中長期的には円高になる。外国からすれば何%かの価格引き上げと同じことだから、それに耐えられない分野は輸入に回るだろう。
この円高を回避する工夫が、ゼロ金利だった。外国のたとえばドル資産の方が利率が高いから、それに投資すべく円でドルが買われて円安になる。
ここで犠牲になったのは、自動車産業ほど抜群に世界一とはいえず、円高の下で外国に勝てなくなった産業だけではない。金利を当てにできなくなった預金者やドル建てで人件費の高騰した労働者も、自動車輸出の犠牲になっている。
推進派は「競争力幻想」に微睡(まどろ)んでいるのではないか。だが市場はオリンピックではない。すべての分野が勝つことは不可能である。これはリカードの比較優位説を持ち出さなくとも普通に推測できることではないか。
日本の農業は、外国より高品質の産品を作っても疲弊するに違いない。日本の自動車を超えるほどの比較優位を持つことは困難だからだ。ライバルは外国の農産物というより、日本の自動車産業である。
それだけではない。さらに重要なのはその先だ。本書には多様な議論が混在するようで、その先を見据えている。TPPは市場競争からの保護につながる「経済的規制」の撤廃を唱える協定には止(とど)まらない。「社会的規制」をアメリカが自己都合で変えさせてしまう点でこそ「異常な契約」なのである。
本書で取り上げられる推測を列挙しよう。一つは畜産物への抗生物質の使用基準、野菜への遺伝子組み換え、そして残留農薬基準など食品の安全基準について、通商代表部がアメリカの国内基準を押しつけるだろうということだ。
二つには、アメリカは知的財産権の強化を主張するだろう。医薬品の特許権期間を延長したり、ジェネリック医薬品の製造に必要なデータを秘匿したりして、途上国における医薬品価格を引き上げるだろう。
三つには、投資家の求めに応じて、リーマン・ショックの原因となりここ数年で課された国際的な資金移動や金融に対する規制の撤廃が、早くも進められるだろう。これにより政府は金融危機を防止する手立てを制限されるが、それだけではない。規制を課した政府が、企業や投資家に告訴されるだろうというのだ。
これらはいずれも貿易と投資の自由化を名目として、各国が独自に定めてきた社会的規制が撤廃されるということである。しかも驚くべきことに、TPP交渉は締結まではテキスト案やペーパーを公表しない秘密主義をもって行われている。ただでさえ社会の骨格を築く社会的規制が外圧により撤廃されるというのに、一般市民は交渉過程で協定の内容を読み、影響を評価することができないのだ。
そのうえ交渉に加われるのは政府関係者に限られ、輸入から直接の大打撃を受けるであろう先住民や労働組合は話し合いの場を傍聴することも許されない。秘密主義はオバマ大統領が、米国内で批判勢力をかわすためというのだが。
これらはニュージーランドや豪州の体験から推測されたことである。日本で注目されている農業だけではない、TPPは民主主義すらも危機にさらすだろうというのが、本書の予言である。
「サムソン憎し」というのが財界推進派の心情に違いない。だが、たとえサムソンに勝てたとして、それは国民に食料の安全や安価な医薬品を放棄させ、金融危機リスクにさらしてまで得るべき勝利なのか。政治的主権を捨てるほどの利益がもたらされるのか。再考を迫る一冊だ。(環太平洋経済問題研究会ほか訳)
毎日新聞 2011年10月23日 東京朝刊
今週の本棚:松原隆一郎・評 『異常な契約 TPPの…』=ジェーン・ケルシー編著
◇『異常な契約 TPPの仮面を剥ぐ』
(農文協・2730円)
◇社会的規制の撤廃がもたらす危機
反TPP(The Trans-Pacific Partnership Agreement=環太平洋経済連携(パートナーシップ)協定)の立場を露骨に示す邦題だが、実は原題を忠実に訳している。編著者はオークランド大学教授。TPPを立ち上げた4カ国のひとつであるニュージーランドと続いて参加した豪州から19名の法律家・エコノミストが寄稿して、2010年にオバマ政権主導で推進されるようになったこの協定につき様々な分野と視点から精緻に分析している。
日本では昨年末に菅前首相が「国を開く」というキャッチフレーズで関係国との協議開始を指示、大震災でいったん先送りしたものの、今また野田首相が農業再生策に絡めながら参加に熱意を示し始めた。
けれどもわが国での推進論には首を傾(かし)げたくなる。関税撤廃で貿易と投資を自由化すれば、製造業は一層の競争力を得て輸出を増やす。一方、これまで保護してきたにもかかわらず担い手が高齢化した農業も、開国で競争力をつければ再生する。そう主張される。だが(外国との比較で)競争力をつけたからといって、その産業が輸出できる(もしくは輸入財に負けない)という保証はない。
仮にわが国のすべての産業が世界一の技術力を誇っているとしよう。日本製品は、いったんは自動車からコメに至るまで、大いに輸出されるだろう。けれどもそれで貿易黒字が貯(た)まれば、中長期的には円高になる。外国からすれば何%かの価格引き上げと同じことだから、それに耐えられない分野は輸入に回るだろう。
この円高を回避する工夫が、ゼロ金利だった。外国のたとえばドル資産の方が利率が高いから、それに投資すべく円でドルが買われて円安になる。
ここで犠牲になったのは、自動車産業ほど抜群に世界一とはいえず、円高の下で外国に勝てなくなった産業だけではない。金利を当てにできなくなった預金者やドル建てで人件費の高騰した労働者も、自動車輸出の犠牲になっている。
推進派は「競争力幻想」に微睡(まどろ)んでいるのではないか。だが市場はオリンピックではない。すべての分野が勝つことは不可能である。これはリカードの比較優位説を持ち出さなくとも普通に推測できることではないか。
日本の農業は、外国より高品質の産品を作っても疲弊するに違いない。日本の自動車を超えるほどの比較優位を持つことは困難だからだ。ライバルは外国の農産物というより、日本の自動車産業である。
それだけではない。さらに重要なのはその先だ。本書には多様な議論が混在するようで、その先を見据えている。TPPは市場競争からの保護につながる「経済的規制」の撤廃を唱える協定には止(とど)まらない。「社会的規制」をアメリカが自己都合で変えさせてしまう点でこそ「異常な契約」なのである。
本書で取り上げられる推測を列挙しよう。一つは畜産物への抗生物質の使用基準、野菜への遺伝子組み換え、そして残留農薬基準など食品の安全基準について、通商代表部がアメリカの国内基準を押しつけるだろうということだ。
二つには、アメリカは知的財産権の強化を主張するだろう。医薬品の特許権期間を延長したり、ジェネリック医薬品の製造に必要なデータを秘匿したりして、途上国における医薬品価格を引き上げるだろう。
三つには、投資家の求めに応じて、リーマン・ショックの原因となりここ数年で課された国際的な資金移動や金融に対する規制の撤廃が、早くも進められるだろう。これにより政府は金融危機を防止する手立てを制限されるが、それだけではない。規制を課した政府が、企業や投資家に告訴されるだろうというのだ。
これらはいずれも貿易と投資の自由化を名目として、各国が独自に定めてきた社会的規制が撤廃されるということである。しかも驚くべきことに、TPP交渉は締結まではテキスト案やペーパーを公表しない秘密主義をもって行われている。ただでさえ社会の骨格を築く社会的規制が外圧により撤廃されるというのに、一般市民は交渉過程で協定の内容を読み、影響を評価することができないのだ。
そのうえ交渉に加われるのは政府関係者に限られ、輸入から直接の大打撃を受けるであろう先住民や労働組合は話し合いの場を傍聴することも許されない。秘密主義はオバマ大統領が、米国内で批判勢力をかわすためというのだが。
これらはニュージーランドや豪州の体験から推測されたことである。日本で注目されている農業だけではない、TPPは民主主義すらも危機にさらすだろうというのが、本書の予言である。
「サムソン憎し」というのが財界推進派の心情に違いない。だが、たとえサムソンに勝てたとして、それは国民に食料の安全や安価な医薬品を放棄させ、金融危機リスクにさらしてまで得るべき勝利なのか。政治的主権を捨てるほどの利益がもたらされるのか。再考を迫る一冊だ。(環太平洋経済問題研究会ほか訳)
毎日新聞 2011年10月23日 東京朝刊
カウンター
カレンダー
| 01 | 2012/02 | 03 |
| S | M | T | W | T | F | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | |||
| 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
| 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
| 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
| 26 | 27 | 28 | 29 |
お天気情報
世界時計
NEWSindex.jp
クリック募金
「レスターブラウン」
「関連書籍」
最新コメント
[03/26 中野洋文]
[11/25 睦]
[08/01 ふうりょく]
[07/23 ふうりょく]
[07/23 地下水]
最新記事
(11/23)
(11/23)
(11/10)
(11/08)
(11/08)
(11/04)
(11/02)
(11/01)
(10/31)
(10/31)
最新トラックバック
アーカイブ
リンク
アクセス解析
ブログ内検索
忍者アド
